金融機関の持つ「現金」

コンビニATMといえばセブンイレブンセブン銀行。ATM運営がメインの銀行として異色を放つ存在だけど、そのセブン銀行の2chスレでちょっと気になる書き込みを見つけた。

セブン銀行は顧客から集めた預金を元手にATM内の現金を調達している

というものだった。ふつう銀行では、集めた預金からいかに効率よく融資や運用に回して収益を生ませるかが求められており、出来るだけ支店金庫やATMで保有する現金を減らすのが常道だ。したがって、割合からいっても預金のうち現金で保持する分はごくごくわずかのはず、ふつう銀行がそんなことするかな?と疑問を感じたのだった。
そこでセブン銀行のディスクロージャーを見てみた。
すると、預金は1700億円ほど、そして一方、現金は2600億ほどとなっている!逆じゃないですよ。なんと現金保有高の方が多いのだ。借入金、社債を加えてようやく3000億円ほどになり、現金を賄うことができているという現状だ。また、預金残高でみればセブン銀行は小規模信金クラスといえるが、同規模の信用金庫では保有している現金は30億から50億円ほどとなっている。預金の数%程度だ。日常的な現金出納に要する現金は単純に支店やATM数といった規模に比例すると考えられるので、同規模の金融機関の間で保有する現金の額に大きな差が出ないと考えられる。その中でこのセブン銀行の現金2600億円という数字は桁はずれて大きい。
しかしこれは、セブン銀行が一般の銀行とは異なる稼ぎ方をしていると考えれば理解できる。つまりふつうの銀行では、現金は収益を生まない日常の現金出納で用いられる「はした金」であるのに対し、セブン銀行ではATM内に保有する現金こそが(提携金融機関から受け取る手数料による)収益源ということだ。おそらく「セブン銀行は顧客から集めた預金を元手にATM内の現金を調達している」というのは間違いではないんだろう。
ただ、ATM提携手数料というのはいってみれば利用客数とATM数の掛け算なので、設置場所であるコンビニ店舗数に限界があることもあり、いずれ頭打ちになるような気もするんだがどうだろう。今後預金量が増えれば融資・運用に注力するか、それとも他金融機関へ仲介・誘導するかどうかになるんだろうか?